優しくすること≠優しさ
仕事をしていれば、苦手な人も出てくると思います。でもその苦手な理由が、自分に対して厳しいから、というものならば、それは認識を改めた方がいいかもしれません。普通の人であれば、自分に厳しくすること以上に、他人に厳しくすることは難しいものです。まぁでもその人が普通の人でなければ、それは相手にしない方が得策です。
優しくするのは…優しいから?
突然ですが、あなたの周りの上司、先輩方は優しいですか?
もちろん、と思う人が多いといいですが、でもそれは何をもって優しいと言っているのでしょうか?例えば、
- 何回でも優しく教えてくれる
- 失敗しても叱られない
- 仕事をたくさん言いつけられない
- 何も言わなくてもフォローしてくれる
という理由だった場合、それは少し心配です。なぜなら、
- 何回でも優しく教えてくれるということは…教えられる側に甘えが生まれてしまうので、自身の成長へは繋がらない。
- 失敗しても叱られないということは…自分が期待されていない。
- 仕事をたくさん言いつけられないということは…自分の処理能力が、いつまで経っても上がらない。
- 何も言わなくてもフォローしてくれるということは…完璧な仕事ができない自分に対して、次は完璧にこなそうという意欲が芽生えづらい。
という理由が隠されているかもしれないからです。
ちょっと嫌な見方をしている感もありますし、純粋な優しさからそうしてくれている場合もあると思います。
仕事でなければ、問題ないと思います。ですが、自身のスキルアップ、特に仕事面で考えた場合、これらは自分にとってマイナスだと思いませんか?
「箱入り息子・箱入り娘」という言葉があるように、「かわいい子には旅をさせよ」という諺(ことわざ)があるように、人は甘やかされた状態では碌なことにならない場合が多いというのが、古くから脈々と伝わる考え方なのです。
本当に自分のためを思ってくれているのであれば、時には厳しい言葉があったり、許容される範囲で失敗を経験させられたりすることもあります。つまり、優しい対応だけが優しさではない、ということです。
それを踏まえた上で考えると、自分の周りにいる厳しい上司、先輩方は、とても貴重な存在です。仕事ができるようになるための第一歩は、自分のダメなところを理解することです。
それをちゃんと指摘してくれるということは、自分の成長の足掛かりを作ってくれているということなのですからね。
自分に厳しいから他人にも厳しくできる
自分に厳しくしてくれる人が大切だとわかったら、次は、自分がそうなれるためにはどうすればいいのか?を考えてみましょう。
まず、自分がダメなところを指摘されたときの、自分の気持ちを考えてみて下さい。言われた当初は落ち込んだり、ちょっとイラっとしたりするかもしれませんが、時間が経ったときに腑に落ちるかどうか?が重要です。
どういうことかと言うと、腑に落ちる場合は、"その指摘に納得でき、且つ言ってくれた人も認められる場合"、逆に腑に落ちないのであれば、"その指摘に同意できない、あるいは言ってくれた人を認められない場合"だということです。
自分のダメなところを言われて、心の底から素直に認めることは難しいことです。会社に入る前は、誰しもが先輩であった時期があり、それなりの地位があり、プライドもあったと思います。
ところが社会人になると、また新人として扱われ、少なくともうまく仕事ができない場合や失敗することがあります。自分のプライドも傷つきます。
そこへ来て注意されるのは、精神的にキツイことです。だからこそ、ダメな自分を認めるのが難しくなるのです。
そんな自分を納得させてくれる人というのは、その人がちゃんとできる人だからではないでしょうか?ちゃんとできていない人に言われたら、反感を持ってしまうと思います。それを持たないということが、その証左です。
“あの人の言うことは厳しいけど、もっともだし、あの人自身も自分に厳しいからなぁ~"と思われる人になればいいのです。
最初から仕事を完璧にできる人なんて、ほとんどいません。それでも、めげずに甘えずに仕事をこなしていかなければ、そうはなれません。厳しいことを言ってくれる人は、自分にも厳しい人なのです。
厳しさ=優しさ
ここまで来れば、優しくすることだけではなく、厳しくすることもまた優しさであると、お分かり頂けたかと思います。
他人に嫌なことを言うとき、言われる側よりも言う側の方が辛いと思います。
いつ言えばいいのか、何て言えばいいのか、どんな風に言うのが効果的なのか(=伝わりやすいのか)、そのようなことをあなたのために考えるのです。
当然、言った後は微妙な空気になる場合もあるでしょうし、そのような雰囲気は誰も好き好みません。
だからこそ私は、「厳しさ=優しさ」だと思っています。そして、自分が言わなければならない立場になったとき、それができるかどうかは、自分次第です。
今の頑張りがすぐに結果に現れるとは限りません。ですが、その努力は必ず何らかの結果となって、返って来ます。早いか遅いかの違いなだけです。
そのときになって、自分から言ったら言葉の信憑性がないなぁ~と思わないために、自分に厳しく努めることをおすすめします。
でも、それで息が上がっては意味がないので、ほどほども大切だということも、頭の片隅には置いておいて下さい。